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待降節第3主日: 神の前に自己開示を!神は既に恵みを注がれている

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「神への道標」

2018年説教の年間テーマ「神への道標」

待降節第3主日(B年)の説教=ヨハネ1・6~8、19~28

2017年12月17日

今年の漢字「北」は背を向けた二人を表すらしい

2017年の世相をあらわす「今年の漢字」に「北」が選ばれ、発表されました。今年も世界遺産の清水寺(京都東山区)で、縦1.5メートル、横1.3メートルの和紙に堂々と「北」の文字が、森清範貫主によって描かれました。(讀賣新聞大阪本社、2017年12月13日朝刊)

選ばれた主な理由としては、相次いだ北朝鮮の弾道ミサイル発射や九州北部豪雨、北海道日本ハムファイターズへの清宮幸太郎選手の入団などが挙げられています。

毎年、日本漢字能力検定協会が公募し、今年は応募総数15万3,594票のうち、「北」は最多の7,104票を獲得したということです。森清範貫主は「『北』という字は背を向けている二人を表すが、話し合って平和な世の中が築かれるよう願いを込めた」と話されました。

エゴを克服して他者を肯定する社会の実現を

わたしたち人間は確かに弱い存在者であります。生きなければならないすべての人が体験しています。生命の営みで体験する疲れ、もろさ、傷つきやすさ、死など、すべて人間として生まれてきたものが体験するものです。中でも、罪の体験は人とのコミュニケーションを破壊してしまうような弱さと言えましょう。

この弱さの根源は人間の中に潜んでいるエゴイズムです。人はさまざまな欲望を抱きます。このエゴイズムが人の心を動かす原動力になるとき、人はそれに翻弄されます。すべてが自分中心になり、自己のみを肯定し、自己の楽しみを求める動きとなって表にあらわれ、隣人に対して不誠実な対応になっていきます。そして、他者否定につながっていきます。

イエスさまがおっしゃった「わたしがあなたがたを愛したように、互いに愛しあいなさい」という新しい掟からはほど遠い生き方になっていきます。誰もが体験することかもしれませんが、「主よ、わたしはあなたを強く信じます」と言っても、恐怖と魅力ある誘惑の前に、もろくも崩れ去っていっているのではないでしょうか。人を愛したいと思っても自分を大事に思い、守りたいと思う生存本能に負けてしまいます。それによって、人とのつながりも切られてしまいます。

人は自分の心の中に不毛の地「荒れ野」を抱えている

こうしたいわば、不幸な姿はこの地上での生の営みが続く限り、ついてまわります。人は一人ひとり自分の中に、すでに不毛の地「荒れ野」を抱え込んでいるといえるでしょう。

今日の福音でヨハネは「荒れ野」に叫んでいるのです。わたしたち一人ひとりに向かって、必死に叫んでいます。あなたたちは本来向かうべき道に戻りなさいと。あくまでも、自分は「前ぶれ」であって、「あの預言者」ではないと公言します。その方は、「わたしの後から来られる方」で、「わたしよりも偉大である。わたしはその方の履き物の紐を解く値打ちもない」と言われます。

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ヨハネの叫びは、神の思い、神の愛であるといえます。ヨハネ自身、神の道をひたすら生きようとした人たちの試練の場であった「荒れ野」で生活したからであるといえます。イエスさまもそのようにヨハネを見ています。

「イエスは群衆に、ヨハネについて語り始められた、『あなた方は何を見に荒れ野へ行ったのか。・・・預言者を見るためか。そのとおりである。あなたがたに言っておく。彼は預言者に勝る者である』」と(マタイ11章7節~9節)。

神を見失えば、人は荒れ果てた不毛の状態

たとえ表面的に華やかに見えても、快適な生活をしているようであっても、人を見失い、ましてや、神を見失っては、その心はなんと荒れ果てた、不毛な状態でしょうか。人は絶えず便利さを求めて利己的に走り、人相互の信頼関係の構築には目もくれません。これでは「孤立」してしまうしかないのではないでしょうか。

神に向かって開けば、新しい自分を発見できる

ヨハネはこうした人々に向かって、今こそ自分を人に、神に向かって開きましょうと訴えます。その中に今の自分とこれからの自分を発見できるのではないでしょうか。同じことは、今のわたしたちに向かっても叫ばれています。謙虚に自己開示をやってみましょう。神の前に自己を開くことはできるのでは、・・。否、神はわたしたち自身が気づかないうちに、すでに、わたしたちに恵みを注がれています。わたしたちはそのことに目覚めるだけです。新たに、ふたたび目覚めましょう!

お互いが向き合うために。

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