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年間第27主日:すべては基礎から始まり、長い年月を経て実り熟する

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「神への道標」

2018年説教の年間テーマ「神への道標」

年間第27主日(B年)の説教=マルコ10・2~16

2018年10月7日

京大の本庶先生がノーベル生理学・医学賞を受賞

「感謝しきれない」。今年のノーベル生理学・医学賞は、京都大特別教授の本庶佑さんに決まりました。喜ばしいニュースです。多くの患者さんから感謝のことばが述べられています。(讀賣新聞大阪本社、2018年10月2日朝刊)

本庶さんの研究を基に開発されたがん治療薬「オプジーボ」は国内で皮膚、肺、腎臓、胃など7種類のがんで承認され、その効果の高さで注目されています。「まるで我がことのようにうれしかった」と語るのは、肺がん患者でオプジーボを使っている兵庫県の会社員、栗生和幸さん(53歳)です。

2016年5月、ステージ4の肺がんと診断されました。当時は妻と大学生だった長男、高校生だった長女の4人家族。「俺は死ぬのか」「子どもたちの将来はどうなるのか」目の前が真っ暗になったそうです。標準的な抗がん剤が効かないと分かった後にオプジーボを使ってみると効いたそうです。「本庶先生がいなければ、わたしは間違いなく生きていなかったでしょう。感謝してもしきれません」と語っていらっしゃいます。

基礎的な研究が応用され、ガン治療の新しい柱に

本庶さん自身もおっしゃっています。「極めて基礎的な研究が応用され、この治療法によって『元気になった』『あなたのおかげだ』と言われる時があると、意味があったと実感し、何よりもうれしい。わたしは幸運な人間だ。基礎研究に関わる多くの研究者を勇気づけることになれば、望外の喜びです」と。

科学、医学の世界では、歴史の流れとともに、発展・成長に著しいものがあります。日本人では二年ぶり26人目のノーベル賞受賞者が生まれました。人類の進歩・発展に寄与された個人、団体の業績に、わたしたち一人ひとりも与ってきましたし、これからもそうです。人間への多大なる恵みの幅が広がってきています。

人間の成長の基本にあるものは結婚、家族

変化、進歩の激しい世界にあって、それら便利さ、ありがたさを享受しているわたしたち人間そのものはどうでしょうか。人同士も、互いに交わることを通して変化し、成長していきます。その基本にあるものが結婚、家族ではないんでしょうか。年間に何組のカップルが生まれるのか分かりませんが、悲しいかな、同時に何分間かに一組の別れが発生しているとも聞きます。

男女が、しかも、一緒になるまでは別々の環境で育ち、大きくなってきた二人が、一生涯を共有していくことは大変なことでしょう。この点は昔も今も変わらないのではないでしょうか。どの時代においても、一つの大きな社会問題として残ってしまう問題なのかなと思います。

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イエスさまの時代にも同じような問題があったのでしょう。今日の福音はそのことを伝えているようです。そこで、ファリサイ派の人が、イエスさまを試みようとして「夫が妻と離縁することは許されていますか」と問いかけます。律法をたてにとって離婚の可能性を認めている彼らでした。

それに対してイエスさまは、「神は創造の初めから『人を男と女に造られた』『それ故、人は父母を離れ、妻と結ばれ、二人は一体となる』したがって、彼らはもはや二人ではなく、一体である。それ故、神が結び合わせたものを、人間が引き離してはならない」と仰せになります。結婚の真の姿をお示しになるのです。

結婚の契りは「永遠」を志向している

このお話から読み取れることは、結婚の結び・契りは、永遠のものであるということではないでしょうか。しかも、わたしたちは「神に似せて」創造された存在者です。そして、男女の交わり・絆の深さを、創世記2章は説いています。

わたしたちは誰をとっても、弱い、それでいてエゴイズムを抱いています。それでも、みなの結婚の絆は永遠のものを志向しているのです。条件付きの誓いなんてあるはずもないでしょう。「条件付き」だとすれば、それは、神の前における「誓い」ではないんじゃないですか。わたしにはそう思えます。

夫婦は限界を抱えながら互いに補完しあう

一人ひとりは限界を感じながらも、共に支え合っていく中で、補完し合っているのです。そこに、結婚の営みが、魅力があるのではないかと思えます。新たな二人の関係に目覚め、さらに発展させ、お互いがより豊かになっていけるからです。

人同士のかかわりの背後には、イエスさまの示されたわたしたちへの愛があります。十字架の極みにいたるまで、わたしたちのためにご自分を渡された愛の極致があります。この事実に気付き、頼っていくとき、ゆっくりながらも確実に前進し、変化し、成長していける自分を見つけることができます。

医学の「基礎研究」は長い年月の先に、その実りが熟します。わたしたち自身も、目の前のことだけにとらわれず、「人として、信仰者として」の生き方の基本(自分らしさ)を、しっかりと築き、そのための時をかけたいですね。

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