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復活節第6主日:聖霊に信頼し続けながら、イエスが求める隣人愛の極みを求めて

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復活節第6主日(B年)の説教

2024年(B年)説教の年間テーマ=あなたの言葉は「わたし」の道の光

復活節第6主日(B年)の説教=ヨハネ15・9~17

2024年5月5日

人は誰もが一度くらいは、その人生の道のりの途中で、考え込んで立ち止まってしまうことがあるのではないかと思います。再び歩き始めるために何をするのか、どう振る舞えばいいのか、その中身については、人によってさまざまでしょう。

わたしたちが「人」として存在する限りにおいて、その成長、成熟のためには「他者」を必要とします。そうなれば、互いの間に、何らかのきっかけで対立、衝突することも無くはないです。しかし、その出来事すらも、成長のためには必要なのです。なぜならば、人はどのような体験でも、自らの生き方への栄養剤にできるからです。

という一方で、「ひきこもり」という現象が、社会問題となって久しくなります。1970年代にはじめて現れ、80年90年代で激増してきたのです。

現代では「ひきこもり」という言葉が浸透していますが、最初は「社会的ひきこもり」という言葉から始まりました。ひきこもりという言葉を作ったのは斎藤環であるとよく言われます。確かに、有名にしたのは彼かもしれません。しかしこれは決して彼による造語ではありません。当時、アメリカ精神医学会が編纂したDSM-Ⅲという精神科の診断基準に、Social Withdrawal(ソーシャル・ウィズドローアル)という言葉が記されていました。これは診断名ではなく、統合失調症やうつ病の精神症状の一つだったのです。直訳すれば「社会的ひきこもり」です(「社交不安障害」と同様に「社交的ひきこもり」が適切であると言う人もいますが、字面が語義矛盾にみえるのが難点です)。この言葉のルーツは元々、英語だったのです。(Medical Note

2023年3月に公表された内閣府調査によると、全国の15歳~64歳のうち、ひきこもり状態にある人は推計146万人。15歳~39歳の63%は就労経験があり、職場の人間関係などが原因とみられています。また40歳~64歳の半数超は女性。国は都道府県と政令市に相談窓口「ひきこもり支援センター」を設置し、22年度から市町村への拡大を進めています。

そしてこの度、やっと自治体向け初支援指針の骨子を去る29日に公表しました。その指針の中で注目されるのが、「ひきこもりの状態でも『尊厳ある存在』。本人の意思を尊重し、自律の力を中心においた支援を」と謳っています。ひきこもりは生活困窮やいじめ、リストラといった問題から身を守ろうとして、誰にでも起こりうる社会全体の課題だと指摘しています。そして、「人としての尊厳」を守り、本人の視点に立った対応を求めています。支援のポイントを盛り込み、2024年度中に完成させ、全国の相談窓口で活用してもらうように予定しているとのことです。(南日本新聞2024年4月30日朝刊)

骨子全体を見ると、きわめて当たり前のことばかりが述べられています。それはひきこもりに対する社会の視線が、いかに当事者を苦しめているかということの裏返しでもありましょう。指針は、よくこれまでも、いろいろな部署で出されましたが、支援のノウハウにとどまってきた感じがします。そろそろ名実ともに、社会全体の意識の変革、そのためには一人ひとりが気づき、目覚めることでしょうが、なされるきっかけになっていきますように、いつも願い、祈っていきましょう。

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さて、今日の福音では、人が人としてより良く、楽しく生きるために大事な隣人愛について、新たな「掟」をイエスは示されます。人が人らしく生き、成長するには誰かを必要としますので、わたしたち一人ひとりにとって、隣人とのおつきあい、その時に望まれるお互いへの配慮等が大事になってきます。その基本的な根拠になっているのがイエスの示した掟であるということです。「わたしがあなたがたを愛したように、互いに愛し合いなさい。これがわたしの掟である。」全く新しい愛の基準です。

つまり、イエスが弟子たちに対して示された心と行動が、それは今のわたしたちにも示され続けていますが、隣人愛の理想としておかれたのです。これは普段の日常生活の中で言われ、行っておられたのです。山上の説教の中で触れておられます。「父は悪人にも善人にも太陽を昇らせ、正しい者にも正しくない者にも雨を降らせてくださるからである。 自分を愛してくれる人を愛したところで、あなたがたにどんな報いがあろうか。徴税人でも、同じことをしているではないか。自分の兄弟にだけ挨拶したところで、どんな優れたことをしたことになろうか。異邦人でさえ、同じことをしているではないか。 だから、あなたがたの天の父が完全であられるように、あなたがたも完全な者となりなさい。」と。

それを邪魔するのが、わたしたちの心に大きく横たわっているエゴイズムです。やはり自分が大事なのです。神と異なって、わたしたちはエゴイストです。心のどこかに、自らを優先していく思いが宿っています。これは他者との付き合いの中で、大いに目立っていきます。

その一方で、ひきこもりの状態に陥った方々がいます。専門家が言うには、いじめや職場でのトラブルなど、対人関係に起因するストレスがひきこもりの原因となることがあります。不登校や学業の失敗、失恋などの挫折体験も、ひきこもりのきっかけとなることがあります。ひきこもりは病気ではないものの、精神的な病気や発達障害が原因となることがあります。これにより、自宅に閉じこもり、他人との親密な対人関係を築らない状態が6ヶ月以上続くことがあります。(copilot)援助の手をどのように差し出せばいいのでしょうか。

いずれにせよ、一人ひとりは高い理想をしっかりと見つめるべきでしょう。できないことはないのです。神の恩恵によって。イエスから逃げ去ったあの弟子たちが、純粋な愛に生きることができるようになったのは、聖霊が与えられたからです。今のわたしたちも同じです。

イエスが求める隣人愛の理想を、日々の努力の目標にしましょう。 聖霊に信頼しつつ。

 

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