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神の母聖マリア:全人類の母は「出来事を」心に留めて、思い巡らす

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神の母聖マリアの説教

2023年(A年)説教の年間テーマ=み言葉は「救い」の見極め

神の母聖マリアの説教=ルカ2・16~21

1月1日

明けましておめでとうございます。新しい年が始まりました。今年はどのような日々にしようかと思いつつも、すでに心づもりを始めておられる方もいることでしょう。何はともあれ、いい一年にしてまいりましょう。今年もよろしくお願いいたします。

カトリック教会では1月1日は「世界平和の日」

きょうは一月一日です。

聖パウロ六世教皇は1967年12月8日、ベトナム戦争が激化するなか、来る1月1日を平和の日とし、平和のために特別な祈りを捧げるよう呼びかけられました。それ以来、全世界のカトリック教会は毎年1月1日を「世界平和の日」とし、戦争や分裂のない世界が来るように祈っています。(カトリック教会情報ハンドブック2022)

平和はキリスト教に深く根ざしています。「平和の君」としてのイエス・キリストを伝えることになるものだからです。「平和」のある所には分裂がなく一致と協力、連帯と分かち合い等が穏やかに、実現、展開されています。

家族間の暖かい「信頼関係」こそが平和の原点

その最高の姿が、何人も認めるところであろうと思いますが、「家庭・家族間」にある安心、安全な温もりある「信頼関係」ではないでしょうか。その安心安全な環境の中でこそ、子どもたちが「正常な人間」として育っていくのです。やがて、平和で穏やかな人間として、さらには、広く多くの人、社会に貢献する人となっていきます。

ところがここ数年、子どもにかかわる事件事故、家族の絆を揺るがすような出来事が続々と起きています。大きな社会問題です。そのきっかけとなっているかもしれないと、わたしが思う一つが「人口減少」それに伴う「少子化・高齢化」問題です。自ずと人同士のかかわりが希薄になっていきます。

「癒えない心、早期支援を」の活字が躍っています。監護者(親)による性虐待の出来事が後を絶ちません。(南日本新聞2022年12月26日朝刊)18歳未満に対して実父や養父ら「監護者」の立場を利用して性交する「監護者性交罪」での有罪判決が相次いでいます。近年の検挙(摘発)数は年100件を超え、起訴数は70~90件で推移しています。識者は「家庭内の性暴力は被害者が『自分さえ我慢すれば』という心理に陥りやすく発覚しづらい」と話しています。カウンセリング・相談機関など被害者が声を上げることのできる態勢の整備が求められています。

神の母聖マリア:羊飼いたちは、マリアとヨセフと乳飲み子を探し当てた
神の母聖マリアの福音=ルカ2・16~21 〔そのとき、羊飼いたちは、〕急いで行って、マリアとヨセフ、また飼い葉桶に寝かせてある乳飲み子を探し当てた。

なんといいましても、人は根源的に人(他者)を求めています。それによって、人は人として「その人らしく」成長し、生きる満足感を抱き、正常な人間としての道を歩むことができるからです。自分のことだけではなく、相手のこと、その周りのこと等、幅広く心配りができるようになっていき、温かい、信頼される大人になっていきます。いわゆる「正常な人間」の姿です。そして、自ずと共同体が構築されていきます。温かみがあり、平和な、穏やかな人となりで互いを高め合って生きていきます。その基盤が「家族」なのではないかと、・・。理想は現実化しないといけないのではないでしょうか。

理想の”聖家族” その中でマリアの存在は大きい

今ここに理想の家族があります。イエスを中心とした聖家族です。その中で、母としてのマリアの存在は大きな役割を占めています。

天使が告げたしるしを目の当たりにした羊飼いたちは「天使が話してくれたこと」を人々に知らせました。それを聞いた人々の反応は「不思議に思った」だけでした。しかし、母マリアは違いました。羊飼いたちが話してくれた「出来事をすべて心に納めて、思い巡らしていた」のです。わが子イエスについての話だから関心があったというだけではなく、マリアとしても、羊飼いの言葉の意味をすぐに理解してはいなかったのです。だから、「思い巡らしていた」のです。分かるその日が必ず来るからです。そして、忘れる可能性がなくなります。

わたしたちは、いろいろな機会に、講演会に出席して講演者からいい話を聞く機会があります。聴講者の中には、よくメモを取っている人がいれば、腕組をし、目をつぶって耳を傾けている人、ひたすら講演者をにらむように見つめている人等それぞれです。これは大事な話だ、と感じる言葉・表現は、これもまた、一人ひとりそれぞれです。でも気になる言葉・内容は、その後、何かにつけ思い出すことがあるのではないでしょうか。要するに、言葉の表面だけではなく、その奥に込められたメッセージを読み解きたいのです。

理解できない事柄をひたすら温め思い巡らした

マリアは、あのお告げの時に告げられた大天使ガブリエルの言葉の意味をも、うまく理解できていないのです。ひたすら温め続け、さらに思い巡らし続けているのです。すべてを理解できる日が必ず来るからです。

羊飼いたちは、天使の言葉が「出来事となって」目の前に展開されていくことを信じてベツレヘムへ向かいます。そして、その体験をします。イエスの誕生はまさにその実現していることのしるしでした。それを確認し、同時に、そのことを皆に告げ知らせる役割もあったので、ベツレヘムへと向かったのでした。何も作り話を告げたのではなく、天使が「語ったこと」、そこに秘められた神のメッセージを告げたのです。そのメッセージをマリアは「思い巡らして」いるのです。温め続けたのです。

そして、名実ともにイエスの母、神の母となられます。その母の下でイエスは成長し、平和のメッセンジャーとして世に出ていくのです。

そして、マリアはわたしたち全人類の「母」でもあります。

 

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