聖霊降臨(A年)の説教=ヨハネ20.19~23
2014年6月8日
人は自分の足りないところを満たすためにどのようなことをするでしょうか。自分のことを振り返ってみるとわかりますが、それが、なかなか思い出せませんね。結局は、無意識のうちに補填しているということができます。「自助力」という機能が自ずと働いているのでしょう。
人は本能的に自らを護る工夫をもっていますし、それがまた、自己成長の要素ともなっています。しかし、必ずしも完璧な工夫力ではありません。だからこそ、「似た者同士」寄り添うのです。寄り添うだけで力を感じます。安心します。そこには、一人の力ではどうしようもないことに向かって、驚くほどの抵抗力と超越力がわいてきます。「群れの力」というのでしょうか。
かつて、弟子たちは同じ体験を、「師を裏切る」という、彼ら自身も予想しなかったであろう行為をしでかします。それが、現実ですし、否定できない事実でした。お互い口に出さなくてもわかっているだけに、黙して「群れるために」高間に集まっていたのでしょう。ユダヤ人を恐れ、自分たちの弱さと限界に泣き続けた日々であったのではないでしょうか。それぞれに感じ方に温度差はあっても、受け止め方は違っていても、同じく、悲しみとさびしさを抱いていたのは事実でしょう。
その状態から、新たな、イエスさま後の教会共同体が誕生するのでした。その構成員をなす弟子たちは、しっかりと固められ、強められ、盤石な教会の礎となって、その他の構成員を増やし、世界に向かって羽ばたいていきます。その中心にいるのが「聖霊」です。
今日の聖霊降臨の祝日は、弟子たちが「群れている」中で、自分たちの弱さ、駄目さ加減に気付き、素直に、その弱さと自分の闇と相対して、それらをしっかりと受け止めたことに始まった、神の業の現れであるといえるのではないでしょうか。
わたしたちも、しっかりと自分の現実に相対してみましょう。ある人、時には辛いことになるかもしれませんが、その先には必ず、「よろこび」が待っています。そして、温まってさらに新天地への歩みが始まります。聖霊はわたしたちの内側から、冷えきった心を温め、勇気を与え、自分のエゴイズムを抑え、人をゆるしていける力が生まれてきます。このことに気付いたら「神に感謝」です。
だからこそ、「群れる」ことでもっと強くなれるし、その群れの輪を広めていくことができます。
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