年間第29主日(A年)の説教=マタイ22.15~21

2011年10月16日

神のみことば

人間の世界では、実に同じような事件が次から次へと起こります。どうせいずれはあばかれることなのに、と思われることがたくさんです。事件を起こす人の心理状態は、所詮、共通するものがあるということでしょうか。人として考えれば、さもありなんと納得できるような気がします。

とは言うものの、例外なく、人は神のせいで今を生きているし、今まで生きてこられたのです。この現実は、人間がどんな生き方をしていても、何ら変わることはありません。つまり、幾たびとなく自分の弱さのために崩れ倒れそうになったとき、あやまちを犯してしまったとき、そのたびごとに支え導いてくれたのも神でした。落ち着いて考え振り返ってみるとそうなんです。わたしたちの中にあるいいものは、すべて神からのものであります。逆に、わたしたちの中にある悪いものは、この自分に由来します。

このように考えますと、わたしたちのもつもので神からでないものは何一つないのです。今あるわたしのすべて、そして、未来のすべても神からのものなんです。今日の福音で、「神のものは神に返せ」というとき、この事実をしっかりと自覚しなさいということです。すなわち、今のわたしの存在すべてが、自分自身の力によるものではなく、神の恵みであるという事実をしっかりと見つめ、認識させることから、神への感謝が始まります。

ところが、現実のわたしたちはどうかといえば、一度しかない人生であれば、できる限り幸せで楽しいものにしたいと思うので、あらぬ欲求に引きずり込まれていきやすいのではないでしょうか。どうせ自分で稼いだ金、ものなんだから、自分が好きなように使ってどこが悪い、と思ってしまいます。

これは大きな錯覚です。論より証拠、そのものを失ってしまうと、極端な落ち込み状態に陥ります。人生は順風満帆なときばかりではありません。真の充実した人生はどこにあるのか。自分のすべてが神に起因していることに目覚め、神とのかかわりを生き抜いていくところにあるのではないか、と今日のイエスさまはメッセージを送っています。